warmth
冬は嫌い。
外が寒いと思うだけで仕事に行くのも億劫になるし、布団から起きあがるのが嫌になる。
寝起きが更に悪くなるのは言うまでもなくて。
―――ピピピ ピピピ ピピピ…
耳障りな電子音が、心地良い微睡みの中にあった意識を引き戻す。
「んぅ…」
もぞもぞと身体を動かし、さらに布団の奥に潜りこませる。
暖かい人肌。何も着てない肌に当たるソレが気持ちいい。
半覚醒の意識の中で微睡む心地良さに酔っていると、俺が頭を埋めていた部分がごそごそと動いて、
鳴り続けていた電子音がぴたりと止められた。
同時に心地良く思っていた腕の囲いが解かれて。
不満げに顔を上げ、薄く目を開ければ、ダイがむくりと身体を起こしているのが見えた。
「薫、時間やで」
俺とは逆に寝起きの良さ抜群のダイは、髪を掻き上げながらそう声をかけてくる。
日に当たらない白い肌が冷気に晒され、寒いはずやのに平然としてるのはちょっと理解出来ひん。
そんな俺はと言えば、心地良く思っていたぬくもりが遠ざかって思わずベッドを降りようとしていた
ダイの手を掴んだ。
「薫?」
「……ぅちょっと…」
「ん?」
「もうちょっと…このまま…」
思った以上に甘えた、自分の声。
プライドだとか体裁だとか、そういう取り繕った姿を今更見せても仕方ない。
ただでさえ寝起きで頭の動いてない俺がそこまで考えられるハズもなくて。
そんな俺にダイはしょうがないなぁと言わんばかりにちいさく溜息をついて笑うと、
起きあがらせた身体を再び横たわらせて俺の身体を抱き寄せた。
「5分だけやで?」
俺をとろとろに甘やかす、優しい男の声。
抱き寄せられた身体は一番馴染んだ心地良い体温で。
微睡みの中で揺れる意識は、ただひたすらに幸せな感覚をもたらしてくれる。
季節は冬。
窓の外は冷たい風が吹きすさんでいて、今も窓を叩いていて。
「薫?5分経ったで」
耳元で囁かれる言葉に、んーと生返事を返しながらさらに身体を密着させる。
ぎゅっと抱きしめ返される身体。
起きなあかんという気持ちはどんどん萎えていって。
結局、後5分、後5分ということを繰り返した俺たちは、遅刻して京くんたちに白い目で見られることになるんやけど。
寒い時期が続く限りは諦めてもらうしかない気がする。
それは、寒い冬だからこそ感じる、しあわせなひととき。
冬が嫌いな俺が、一番この季節を好きでいれる時間。
END
新しい家は寒くて敵いません
布団から出たくない…