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『薫くんには迷惑ばっかかけてるけどいつでも笑ってくれるよね。すげぇ安心する』

数分前、トシヤから来たメール。
読んでから、少し笑って溜息をついた。

迷惑なんて、思ってへんのに。
頼られて、すごいうれしいのに。

いっそのこと、この気持ちを伝えてしまおうか…

寝ころんだベッドの上。
携帯を投げ出し、両手で顔を覆う。

何事にも真っ直ぐで、素直なトシヤ。
こうして唐突に送られてくるメール、語尾のハートマーク。

…いつも、期待してしまう自分がいて。

『スキ』

俺がこのたった二文字の言葉を口にしたら、トシヤは一体どんな顔をするんだろうか。

…どんな風に、受け取ってくれるんやろか。

メンバーとして?
親友として?

それとも…

恋人の対象として?

ちゃんと、伝えられるんかな…



電気を消した暗い部屋。
携帯のボタンを押し、さっきのメールを再び展開する。

この気持ちが揺るぎないものになったのはいつやったんやろう。
いつの間に、受信箱がいっぱいになるくらいメールの交換をするようになったんやろう。

試しにメールの受信箱の中身をずっと下の方までスクロールさせ続けてみる。
続く、トシヤの名前。

内容はそんなに大したことじゃない。

今日こんなコトがあった、とか。
めずらしいモノを見つけた、とか。
さっき何々を食べて美味しかった、とか。

そんなたわいないこと。

なのに、そんなメールが。
未だに、削除できない自分。

つくづく可愛いよな、俺も…
自嘲的に、溜息をつく。

自慢出来るほどじゃないけど、程々に恋愛経験はしてきたつもりだった。
やのに、未だに1人の気持ちがわからんくて戸惑っているなんて。

新たに表示される、新着メッセージ受信のマーク。
俺は一度メニュー画面に戻ると、手慣れた手つきで届いたばかりのメールを表示させる。

送信者…トシヤ。

『腹減ったんだけど、一緒に飯食いに行かない?』

ほんま、人がこれだけ悩んでるって言うのに…
けど、トシヤやから許してまうんよな。
俺は苦笑気味に溜息をつくと、ベッドから身体を起こして出かける準備をし始めた。

まだ。
もう少し、この想いはこの胸の中に秘めたままで。

微かな胸の痛みを感じながら、俺は静かに玄関のドアを開けた。

 

END