最近特に思うねん

“お前が足りひん”

って

細胞の1つ1つが、枯渇してお前を求めてやまない

お前と1つになれたら、満たされる

そんな気が、するのに

 

Made in HEAVEN.

 

「…薫くん?」

頭上から降ってきたのは、わかりやすいダイの驚きを含んだ声やった。
不思議そうに首を傾げるダイに構わず、その口唇を貪るように口付ける。

触れるだけのキスを、何度も。

「ん、ちょ、かおる…?」

口を開けて舌を絡めてこようとするダイから少し口を離して逃げると、またその口唇にキスを繰り返す。

ちゅっ、ちゅっ、と。
短いキスの、独特の音が耳に付く。

深いキスをする気がない俺に気付いたのか、途中からダイは大人しくされるがままになっていて。
目を閉じて、その感覚だけに集中する。



―――他の誰でもない、ダイの、口唇の感触



時折悪戯みたく俺の頭を引き寄せては、唇を吸ってくるダイ。
されるがままにぎゅぅっと目を閉じて、また息を吸ってその唇を貪って。

「…めずらしく積極的やな」

茶化したように言うダイの言葉を無視して、少し紅く腫れた口唇を舌でなぞる。

「赤い」
「んー…ちょっと、ヒリヒリする、かな…」

そう言って、ダイが自分の口唇を指でなぞった。
キスマークほど生々しくないけれど、何だかその口元だけがやけにいやらしくて。

噛みついた、薄い口唇。

「痛っ」

小さく悲鳴をあげる、ダイ。

「…なぁ、薫」

悪戯が過ぎた俺に咎めるように小さく睨んでから、耳元で囁かれる艶を含んだダイの声。

それは、
容易に情事を連想させる、甘い―――呪文。



「その気になってええん?」
「…どーだか」

どさりと押し倒されたソファの上、照明の下で見上げるダイの顔はいつもよりずっと攻撃的。
ダイの中にある“男”を直に想像させるその表情が、言ったことはないけれど実は好きやったりする。

ほら。
枯渇してた細胞が、少しずつ水を得たみたいに元気になっていく。

俺に足りひんのは、一体お前の何なんやろう?



「薫…今日反応早くない……?」

ほら、と翳された指先には、とろりとした白い液体。
ダイの手によって扱かれたソコは、熱を持ってずくずくと疼いている。

もっと。
欲しいのは、そんな曖昧な感覚や愛撫じゃない。

「…んっ……ダイ………」

首に回して引き寄せた体。
ほとんど半裸な俺に対して、まだ服を着たままのダイ。
でも知ってる。布によって隠された体が、段々火照り出してること。

その証拠に、剥き出しの肌で触れた首はこんなにも熱い。

「早く……」

強請るように耳元で囁いて、耳朶にべたっと舌を這わせる。
煽ってるのなんて重々承知な行動。
らしくない俺の行動に、今日のダイは苦笑してばかり。

「何、どうしたん」

釦を外して、ジッパーを下げる、その行動さえもどかしくて。

「な、も、ええから、早く……」

腰を擦りつけるようにして浮かせると、今度はダイが慌てたように少し体を離した。

「あかんよ、ちゃんと慣らさな痛いって……」

そう言って濡れた指を下肢に這わせて来ようとする手を止めて。

「ええ、から。お前を感じさせて…」

痛みでも何でもイイ。
枯渇してる俺の細胞に、早く“お前”をチョウダイ。



「ぃ………ッあ…………!!」

予想通りというよりも、予想以上に、慣らさずにダイを迎えた体は苦痛を訴えた。

「や…っぱ、キッツ……」

呻くダイの背中に、縋り付くように爪を立てる。
微かに漂う鉄の匂い。
ピリッとした痛みが走って、膿んだように熱の溜まるソコが、久々に激痛に耐えきれなかったのを知った。

「薫、傷…ッ!!」

流れた赤い液体に気付いたのか、眉根を寄せたダイの両頬を固定してその口を塞いでしまう。

痛いのが好きなわけでも、根っからのマゾなワケでもないけれど。



たまにこうして、お前を感じたくなるねん。



だから、満たして。
傷付いた体は、後からお前の優しさで癒してくれたらいい。

今は、痛みよりその先にある、快感を、もっと。



「ンン……ッ!!あっ、は……」

律動を開始したダイの体に縋り付く。
既にソファから浮き上がっていた背中に、ダイの手が添えられて。

「薫…ッ……!」

ぱさ、とダイの乾いた髪が頬を撫でる。

生暖かな液体が太股を伝う、感触と。

体の奥を“犯される”感覚。



完全に満たされた、俺の細胞。



足りひんのはダイ。
お前と1つになって、溶け合わへんと、俺は自分の中の獣をこんな風に呼び覚ましてしまうみたいや。
多少自虐的に。

お前に触れられない期間が長ければ長いほど、お前を深く深く感じないと満たされない。

普通のセックスも好き。
でも足りひんときは、お前をこれからも乱暴に求めると思うよ。



「愛してる」



その言葉だけで、俺をここまで堕落させられるのは、お前だけ。



ダイ。
俺の枯渇した細胞をいつでも満たしてくれる、オアシス。



綺麗な水と、愛を、俺に。

 

END