アツイカラダ
2ndaction

 

『ゆっくりでええから…身体なぞって?』

真っ暗な部屋の中。
俺はダイに言われるがままに着ていたTシャツとジャージを脱ぎ捨て、
毛布にくるまっていた。

「なぞ、んの…?」

左手で携帯を耳に押し宛てたまま、シーツの上を漂わせていた右手を
ゆっくりと持ち上げて。
微かな衣擦れの音をさせながら、するりと腹の上を滑らせた。

『ゆっくりでええから。いっつも俺がしてること、思い出して?』
「ん…」

じわじわと、腹の部分をさすりながら。
ゆっくりとその手を胸元まで移動させていく。

やがて、辿り着いた胸の突起。

微かな刺激ですら快感と感じていたのか、既に勃ちあがっていたそれに指が触れた瞬間、
びくりと身体が反応した。

「っ、ダイ…ッ」
『可愛い薫…。気持ちええ?』
「んん…っ」
『ソコ、舐めたいなぁ…』

ぴちゃ、と。
電話越しに聞こえる濡れた音に、ぎゅっと目を閉じた。

「あ…っ、ん…!」
『薫、ソコに軽く爪立てて?』
「えっ、あ、ンァッ!!」

濡れた音と、自分の爪の感触が相俟って、まるでダイに舐められて
軽く歯を立てられているような、そんな錯覚に身体が震える。

『ほら、もう片方も…』

促されるままに手を滑らせて、愛撫する。
散々自分の指で嬲っていた方の突起に毛布が触れる、そんな感触にすら感じて。

『薫?』
「っ、ん…」
『もう下もぐしょぐしょにしてるんちゃうん?』
「っ!」

耳元で囁かれる、あまりに直接的ないやらしい言葉に、
視覚的な羞恥心まで煽られる。
ダイの言葉通り、胸だけの愛撫で自身からは蜜が零れていて。
それははいていたパンツをじわりと濡らし、窮屈そうに解放を望んでいた。

『苦しいやろ?パンツ脱ぎ?』
「や……はず、い…」
『じゃぁずっとそのまんまでええん?』

情事の最中そのままに、意地の悪い言葉。
ダイは結構、ムッツリスケベや。ついでに変態。

言われるがままに下着を下ろして、足から抜く。
素肌に毛布の触れる心地よさにぼぅっとしていると、触って、と言われて。

羞恥心に口唇を噛みしめながら、そろそろと右手を下ろしていく。
自分の手やのに、ダイの言葉に逆らえへんくて。

先端に触れた瞬間、思わず声を上げてしまった。

「ゃ…、やぁ…っ」
『ええ声。口唇噛みしめたらあかんよ…?
 もっと声聞かせて』
「あっ、ア、ダイ…っ」

くちゅ、と自分の手の中で響く濡れた音。
そのまま手をスライドさせれば、ますますその音は激しくなって。

『ええよ薫…いっぱい濡れてんやん…』
「言う、な、っ…んぅ!」

くちゅくちゅと濡れた音と、乱れた吐息。
加えて電話の向こうからも、ダイの弾んだ吐息と微かな水音。

夢中になって自身を扱いていると、不意にダイに名前を呼ばれて。

『手、そのまんまでええから。もう片方の手で、ベッドサイドの引き出し開けて?』
「ふぇ…っ?」
『ジェル、何処入れとぉか知っとるやろ?』
「ぇ、っ!?」

言われた単語に吃驚して、思わず手を止めてしまった俺に、
ダイは誘うように告げた。

『もっと気持ちよぉなりたいやろ…?』



すっかり熱を持って火照った体から、毛布を引き剥がして。
取り出した潤滑剤の容器を、改めて見つめる。
暗がりの中、微かな光を反射させてとろりと光る、粘度の高い液体。

『それ、掌いっぱいに出して…』

最早枕元に置きっぱなしの携帯に、耳を押しつけるようにしながら
ダイの声を聞く。
言われるがまま、自分の出した蜜でぐしょぐしょに濡れていた掌に
潤滑剤のボトルを傾けてジェルを落として。

『出来た?』
「ん…」
『じゃぁ、まずそれを薫自身に塗って?』

両手いっぱいに塗り広げたジェル。
その両手で包み込むようにして自身を扱けば、
あっという間に限界は近くなって。

「ダイっ…イ、イきそ…っ」
『まだダーメ。手ぇ離して?』
「ゃっ…」
『薫、ええ子やから』

言われるがまま、手を離してしまう俺。
自分の身体やのに、制御がきかへんなんて。
ダイに快感の教えられた身体は、最早ダイの言うことしかきかへんらしい。
不合理や。

ぐずって鼻をすっていると、ちゅく、と電話口で濡れた音がして。

『ほんなら、指後ろに滑らせて?
 ベタベタに濡らしたってるから、大丈夫』
「い、いやや…怖い…」

どんなに潤滑剤で濡れてようと、何か異物が入り込むときは
痛みや恐怖心が常に付きまとう。
いつもならそれらを取り除いてくれるダイもおらへんのに、
そんなことよぉせん………

『薫ん中、入りたいねん…』
「っ」
『な…?痛い思いさせたないから…』

ずるい。
ほんまは、今から俺ん中入るとか絶対無理なくせに。
こんなこと言われたら…やるしか、ないやんか…

『片手は自分の握っとき?
 ちょっと扱いて、気持ちよぉなったらゆっくり指入れて…』

言われるがまま、片手でイきたくて打ち震えてる自身を握って。
くちゅくちゅと濡れた音を立てながらそれを扱いていると、

『薫、今…』

入れて?

そう、言われて。
こくりと息を呑んで、そろそろとソコに手を滑らせる。

ゆっくりと入り口をなぞって、そして。
潤滑剤の滑りに助けられるようにして、つぷりと爪の先を潜り込ませた。

「…ッ」
『痛い?』
「ン、んーんっ…」
『薫ん中、熱くて気持ちええよ…』

情事の最中の、ダイの声。

『ゆっくり中、なぞって…』

止めていた手を、ダイの声に促されるようにしてそろそろと動かしはじめる。
ダイの長い指とは明らかに違う、自分の指やのに。
今は、今だけは、ダイの手なんやって、思いこんで。

『ええとこ、わかる…?』
「やっ…わ、からん…っ、アッ」

膝を立てて、腰を浮かせて。
濡れた音をさせながら快感を煽る、ひどく浅ましい格好をしている自分。

それでも、両の手は止められずに。

片手で自身をなぞりながら、もう片方の手で中を探る。
自分の指では足りない長さを、腰を浮かせることでさらに奥に誘い込んで。

「や、ダイ……ぃ」
『ええよ、薫…』

ダイの声に助けられるようにして、更に淫らな行為に没頭する。
開きっぱなしの口唇から、飲み込めきれずに伝う唾液。

と、不意に。
あの、いつもの感覚が、背筋を走り抜けた。

「あ、アァッ!!」

その反応に呼応するかのように、ぐっしょりと蜜を零す俺自身。
閉じた瞼の裏が、チカチカし始める。
限界はもう、目の前。

「あっ、だ、ダイっ、も、イく……ッ!」
『ん、俺も限界…』

早くなる手の動き。
限界を訴えた電話の向こうで、聞こえてくるダイの忙しない吐息。

『薫、愛してんで…っは…』
「あっ、あ、ア
───!!」

一瞬、ホワイトアウトした意識の中。
いつもの情事と同じで、ダイの声だけが、
ただ甘く響いて残った。






「…アホ」
『スイマセン』
「ボケ。調子乗りやがって…」

初めての、電話セックスの後。
正気に戻った俺は、とてもじゃないけど平然となんてしてられへんくて。

照れ隠しに悪態ばかりつく俺を、ダイは少し笑いを含んだ声で宥めてくる。
ってか、その笑いを含んだ声が一番腹立つお前!!

『薫くん可愛かったー。たまにはええなぁ、こういうのも』
「アホか。もうせえへんぞ」
『えー』

たまにはええやん、こういうのも刺激的でさぁ。

とかなんとか。
電話口でのたまうダイに、もう一度悪態をついて。

「…した後にお前がおらな、虚しなるだけや」

ぽそ、と小さく呟いたそれは、紛れもない本心。

『え、え、え?何て?』
「何もない。もぉ寝るで、おやすみ」

そう言って電話を切ろうとすると、ちょ待って!とダイの慌てた声が聞こえて。

『俺、明日の夜にはそっち帰るから。…そのまま、薫くんち行ってええ?』
「…勝手にせぇ」

ほんじゃぁな、と告げて、強制的に電源ボタンを押す。

ようやくひいてきた身体の熱。
汚れたところをティッシュでおざなりに拭うと、そのまま毛布にくるまって目を閉じた。
風呂入らな、とか、後片付けせな、とか。
そんなことをぼんやりと考えながら、でも身体は気怠い感覚に浸ったまま。

───あ、ダイの、匂い…

くるまった毛布から微かに香る、ダイの残り香。
とろとろと眠りに誘われるがまま、ゆっくりと意識を手放した。






きっと明日の夜には、
ふわふわの、暖かい布団 と
手触りのいい毛布 と
匂いの残った枕 と
それからもうひとつ。



俺とダイの身体が、ここに眠っているんやろう。

 

END

 

キリ番5000を踏んで下さった万夜サマにお捧げします。
お待たせしてしまってホントスイマセン!
堕威薫の電話Hなんてとっても私好みな設定ありがとうございましたv
声ネタ私も大好きですー!!
ノ、ノリノリで書いてしまったんですが大丈夫でしょうか??
実はいたしているシーン、書いてははっと我に返り、書いては我に返り、
なんてことを繰り返していました…
何度書いてもここは照れますね…
少しでも楽しんでいただければ幸いです
ご報告&リクエスト、どうもありがとうございましたv

>>万夜サマ
リクエストと同時に素敵なコメントもありがとうございました!
文章の方、かなり好みと言っていただけてうれしいですv
自分の好み以外のカプも「…ありかも」なんて思っていただけたら
ホント書き手冥利に尽きますーvv ありがとうございます!
これからも頑張っていきますので、よろしければまた遊びに来てくださいね!
リクエスト、本当にありがとうございましたv