Private Lesson
-How to date?-
9thdate
「んっ……ふ…」
口付けの合間に微かに感じる鉄っぽい味。
こんなシチュエーションやからなんか、やけにそれが
興奮を煽り立てている。
それはダイも同じだったようで。
「ふ…ぅ……ッ」
咥内を我が物顔で這い回る、熱い舌。
歯列をなぞられ、上顎を擽られて思わず声が漏れる。
無意識に開いた口。
今度は呼吸を奪うようなキスではなく、
戦慄く口唇を甘噛みされて。
ジン、と甘い痺れがそこから広がっていく。
「かおる…」
聞いたことのない、ダイの声。
いつもより低く、甘く響くその声が耳元に落ちてきた瞬間、
ひくりと体が震えた。
「ダイ…」
無意識のうちに零れた、自分の声は
自分のものなのかと疑うほど甘く濡れて。
その声に応えるかのようにダイの手がするりと俺の頬に添えられ、
親指でおそらく赤くなっているであろう目元をなぞられる。
熱い、指先。
指の先まで鼓動が脈打ってるかのように感じるのは、
錯覚かそれとも真実なんか。
どくどくと、逆流しそうな勢いで血液が体中を巡る。
「薫…」
ちゅ、と音をたてて甘く噛まれる口唇。
煙草と、酒と、ダイの香水の匂いが強く鼻について、
今の状況を強く認識させて。
「んん………っ」
そんな思考を中断させるかのように、強く吸い上げられる舌。
鼻に抜けた上擦った甘い声に、また体温が上昇するのを感じた。
「…っ」
そうこうしている間に、ダイの手は俺のラインを服越しになぞり始めていて。
胸元から臍までを指先が辿っていったかと思うと、そのまま服の裾から
手を差し込まれて直に肌に触れられる。
少し冷たいダイの手。
それは俺の体温が上がってるからなんか、それとも―――?
いずれにせよ、今この状態でそんなことを悠長に考えている暇はなくて。
「ん…ふ……」
口唇を塞がれたまま、手際よく捲り上げられる服。
剥き出しになった肌をダイの手が滑って。
いつもは6本の弦を奏でているものだと認識させる固い指先に、
誰に今身体を触れられているのかを強く思い知らされる。
「薫…」
確かめるみたいに、繰り返し紡がれる名前。
頬に落とされる口付けは、ただひたすらに甘く。
「好きやで」
「ん…」
キスの合間に落とされる睦言に酔いしれたまま、
ゆっくりと目を閉じた。
部屋の空気の密度が、上がった気がした。
普通の、何てことはないホテルの小綺麗なツインルーム。
どちらかと言えば淫靡な感じなんてどこにもないはずやのに、今はベッドサイドのランプすら
この雰囲気を助長させている気がしてならない。
「あっ……ふ…」
肉付きの薄い、骨ばった、どこからどう見ても男の身体やのに。
さっきからダイは、貪るようにしてこの身体をかき抱いている。
指先で確かめるように触れたかと思えば、跡を残すように口唇で触れて、
時折戯れのように噛みつかれて吸い上げられて。
そのたびに身体に走る甘い刺激に、思わず零れそうになる喘ぎを必死に飲み込む。
「声、聞かせてや…」
「…っ」
慌てて首を横に振る。
口元を手で押さえつけておかなければ、吐息と共にとんでもない声が上がってしまいそうで。
体内のこもった熱を吐き出した息は、それだけでも空気の濃度を濃くしていた。
「薫」
不意に目の前が暗くなったかと思うと、ダイに顔を寄せられて。
口元を押さえていた手を剥がされて、そのまま口唇を塞がれる。
「んっ……ふ…」
ねっとりと甘い口付けに、思わず酔いしれていると、その間に両手は頭上で押さえつけられていて。
やっと解放された口付けの後、息も絶え絶えな状態でダイの顔を見上げれば、
ニィ、とオトコの顔をして笑っている。
その顔に見惚れていると、突然首筋に顔を埋められて。
「ええ声、聞かせて」
思いきり濡れたハスキーヴォイスが、耳元に落とされた。
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