煌めく赤い液体に、鮮やかに混じりあうシャンパンゴールドの気泡たち
クランベリーの甘い香りと、気泡が割れる心地良い音
キミに恋したときに体に走った甘酸っぱい感情は、今もこの胸を焦がし続けている
煌めく星の夜、明かりを全部消して。
ベッドサイドには飲み残したクランベリーソーダ。
「ダイ…?」
抱き込んだ体は、微量のアルコールが回っているのかいつもより体温が高い。
ちゅ、と触れるだけの口付けを落とすと、濡れた瞳がゆるく瞬いて。
誘うように開かれた唇を軽く噛んでやると、鼻にかかる甘い上擦った声が零れ落ちた。
「ん……」
そんな声に気を良くして、その赤い唇を舌でなぞって。
焦れたようにのぞかせた舌に、自分のそれを絡ませる。
するりと首元に回される腕。
いつも強がりな彼が甘えてくれるという事実がうれしくて、ダイはさらに抱きしめる腕に力を込める。
強がりがポーズだとわかっていても、時折抱きしめることすら躊躇ってしまうことがあるのだ。
だから単純に、ありのままの姿を見せてくれることがひどくうれしい。
微量のアルコール。
酒は強い方だから、これぐらいで酔うわけがないけど。
酔ったフリ。
2人とも、わかった上での駆け引き。
「薫、体熱い…」
するりとシャツの裾から手を通して、ダイは耳元で囁く。
少し伸びた、煙草とはまた違った香りのする髪が、その頬を擽って。
「…っさい。酔ってんねん…」
小さく毒づく割に、その手はダイの背中のシャツをぎゅっと握りしめたまま。
ダイはシャツを捲りあげると、現れた白い肢体に唇を落とした。
「……ッ」
頭上で、息をつめる気配。
相変わらず細い、肉付きの薄い胸に、キスを落としながら時折戯れのように吸い上げる。
跡は残らないように細心の注意を払って。
それでも時々、自分以外の前では脱げないように思いっきりその身体に所有印を残してみたいとダイは思う。
首筋、胸、腕、それこそ爪の先まで。
丁寧に唇を落とすダイの愛撫は、心地良いけど焦れったくなると、薫は浮かされた意識の中で思った。
声を抑えるように右手を口元にやりながら、もう片手はくしゃりとダイの髪に通して。
「薫?」
上目遣いで見上げられる。
抱き合うようになってから知った表情。
ダイの甘くて熟れた果実を狩ろうとする濡れた男の目が、どうしようもなく自分を煽ることを薫は自覚していた。
「…ダィ……」
微かな声で名前を呼んで、その唇を求める。
甘く落とされるそれに夢中になっていると、ジーンズの前をくつろげられて器用に脱がされて。
緩く反応を見せていたそれに触れられて、薫は口を塞がれたままで甘い声をあげた。
「んぅ…ッ」
ダイの頭を片手で抱き込んで、その首元に顔を埋める。
いつの間に脱いでいたのか、ダイの裸の胸と素肌が触れあって。
その間から聞こえてくる濡れた音に、ぎゅっと目を閉じてダイのくれる感覚だけに身を委ねる。
「薫…」
耳元で名前を呼ばれて、耳朶に歯をたてられて。
ぞくりと粟だった感触。
それが直に与えられている快感と相俟って、さらに限界へと煽りたてられていく。
「ダ、イ…ッ、ン……」
汗の匂い。
ダイの背中に回した手に、伸びた長い髪があたってくすぐったい。
それでも自分を抱いている男がダイであることを確認するかのように、薫はその体に縋り付いた。
「薫」
自分を呼ぶ声が、熱っぽく浮かされている。
低い声が、自分を欲しがって名前を象る。
薫はそんなダイの声が好きだった。
「あ、ンッ……!!」
促されるように手の動きを早められて。
耳朶に歯をたてられた瞬間、重ねた体の間のダイの掌に、薫は悦を吐き出していた。
肩で息をしながら、離れていったダイを目で追う。
白い液体がダイの掌から腕へと滴っていて。
そんな薫の視線に気付いたのか、ダイが薫と目を合わせたままで腕に舌を這わせた。
獰猛な瞳。口角を上げて微笑むその表情に、薫は挑むようにして微笑んでみせる。
ベッドサイドからチューブを取り出して、白い液体を拭った掌にジェルを落とす。
ぱちん、とキャップを閉めて、そのチューブをベッドサイドに置いて。
掌にのばされた粘着性のある液体が、薄暗い部屋の中できらりと光る。
無意識に息を飲み込んでいた薫にダイはくすりと笑い、その両手がベッドにつかないように
肘で体重を支えながら再び薫の体に覆い被さった。
「冷たいかも。我慢して」
くちゅ、と音をさせながら奥を探って。
入り口に馴染ませるように指を這わせると、そのまま中に1本するりと押し込む。
「つめた…ッ!!」
びくりと体を震わせて、薫がダイの体にしがみついた。
「薫ん中は、熱いで…?」
粘性を伴っているために難無く指を薫の中に潜らせながら、ダイが囁く。
ぎり、と睨みつける薫の瞳。
そんな瞳で睨まれたところで、今のダイにとっては恐怖どころか欲を煽られるものでしかない。
何度行為を繰り返しても慣れないそこを、押し広げるように指でなぞる。
イイ反応をみせるところを何度かなぞっては、お預けを食らわすようにして違うところに指を這わせてみたり。
快感に従順な薫は、普段からは考えられないほど素直に反応を見せて。
「寂しそうやな、上のくち」
ダイはそう言うと、ベッドサイドに置きっぱなしになっていたグラスを手に取って中身を口に含んだ。
そのまま薫に口付ける。
途端に口の中に溢れかえったクランベリーソーダに噎せそうになりながら、薫はこくりとそれを飲み込んだ。
飲み下せなかった液体が、つ、とその頬を伝って。
「美味い?」
絶えず指を動かしたまま、平然とそんなことをのたまうダイを睨みつけるが効果はないようで。
それどこか突如増やされた指に、自分のいいところを絶えずなぞられて体が知らず震える。
「あ、ん…ッ、ダイ……」
その腕に縋り付いて。
自分から求めるのは酔ってるから、なんて催眠術をかけるように言い聞かせて。
「欲しい……ッ…」
口にする言葉。
素面じゃとても言えない台詞。
こんなにも熱に浮かされてるのは、クランベリーソーダのせいなのか。
はたまたダイのせいなのか、今の薫には区別できなかった。
「ンンッ……」
慣らされたとはいえ、指以上に質量のあるものを押し当てられて、薫は知らず体を強張らせる。
それでも目の前にちらつかされた快感を期待しながら、必死にこの瞬間をやり過ごそうと深呼吸を繰り返す。
額を擦りつけたダイの広い肩。
縋り付いた背中。
鼻先に汗の匂いが掠めて、興奮を煽られる。
「ン―――ッ!!」
ふ、と息を吐いた瞬間、ぐぃ、と中に押し入られて。
めり込む感触。
異物を追い出そうとする薫の体を必死に宥めながら、中に入ってこようとするダイ。
浸食されてる、といつも薫は思う。
暗い闇。
慣れた瞳が映し出す天井。
外の仄明るさが照らし出す白い肢体。
ダイ、と声に出さずに呟く。
一端止まって、今度は止まることなく最後まで挿れきったダイの背中に爪をたてて。
「―――ッ!!」
「薫…?大丈夫…?」
は、は、と短く呼吸を繰り返しながら、ダイが問いかけてくる。
似たような状態で、薫は声も出さずにこくりと頷く。
ダイは上半身を起こすと、こつりと額をぶつけて薫の唇を啄むようにして口付けを落とした。
「動けそうになったら、言って」
そのまままた体をゆっくりと倒して、薫の体を抱きしめる。
強張っていた体が、ゆっくりと弛緩していくのを、腕の中で感じながら。
「……ダイ」
「ん?」
「も、平気…」
腕の中で小さく呟かれた言葉に、ダイは、ん、と頷くとその唇に口付けを落としながらゆっくりと腰を使い始めた。
「ンッ……」
次第に早められていく動きに翻弄されながら、薫はダイの体に縋り付いて。
吐き気すら感じていた圧迫感をやり過ごしながら、徐々に快感を得始める。
「薫…」
熱っぽく囁かれる名前。
汗で湿った背中にしがみつくために爪をたてながら、薫は噛み殺しきれなかった声を零す。
「ダイ…も、と……ッ!!」
快感に貪欲になった体は、際限なくダイを欲しがって。
足を広げて、穿たれるままに体を揺さぶられて。
そこまでして取り込みたい、自分が惹かれたこの男に、思うがままに体を貪られる。
このままいけたらどんなに幸せだろう、と危ない思想まで巡らせながら。
「薫、イくで…?」
耳元で、限界まで切羽詰まったダイが囁く。
同じように限界まで張りつめた自身に手を伸ばされ、扱かれて。
薫は体を大きく仰け反らせた状態で、体の奥の熱い憤りを感じるのと同時に絶頂に達していた。
ベッドの上での饗宴は1度で終わるはずもなく、行為が終わる頃には
薫の身体は起きあがるのもままならない状態で。
「…どうする?シャワー浴びる?」
背後からダイの腕に身体を抱かれた体勢で問いかけられた言葉に、
緩く首を振った。
「入りたいけど…もう動けん……」
「よなぁ……」
答えるダイの声もどことなく眠たそうで。
「明日風呂入ろ。今日はもう寝よ?」
「ん………」
ダイの言葉に曖昧に頷いて、今にも落ちそうな瞼を閉じる。
「薫くん」
「ん…?」
「こっち向いてや」
言った割にもう薫が動けないことを察しているのか、ダイ自身が腕を動かして
薫の体勢を入れかえて。
「愛してるで」
掠めるようなキスと共に、贈られる睦言。
薄く瞳を開けて、薫は小さく「俺も」という言葉と共にダイの口唇を掠めた。
暖かい腕の中、深層意識に落ちていきながら。
この男が欲しいのは、理屈じゃない。
此奴じゃなきゃダメなんだ、と、痛いくらいに自分でその存在を欲する理由を悟りながら。
END
りゅーいちさんのアルバムのタイトルからインスピレーションで書いた話
個人的に最初の3行がすごい気に入ってる
しかしヤってるだけの話でスイマセン…汗