やわらかい光の粒子が、緩く伸びたトシヤの髪に反射する。
甘い香りで俺を誘惑しながら、俺の体の上で踊り続ける…それはさながら美しい蝶のように。
俺の体の上で跳ね上がる、夜の闇にぽっかりと浮かび上がる白い肢体。
熱っぽい呼吸だけが閉じることを忘れた口から零れ落ちる。
トシヤからは、それに加えて甘く上擦った声も。
繋がった箇所からは濡れた音が漏れ続け、視覚以上の刺激を与えてくれる。
いくら闇に慣れたとは言え、視覚に完全に頼りきりになるには、あまりにも無謀な室内。
ただカーテンの隙間から零れ落ちてくる月明かりだけが、静かにトシヤの体を映し出していた。
頭上から水滴が滴ってくる。
トシヤの目から零れた涙。
熱気の篭もった部屋での行為は、ライヴのとき以上にトシヤの体を湿らせていた。
瞳を閉じて、ただ従順に快感に酔いしれている横顔が、やけにいやらしくて。
俺の体に跨ったまま、緩やかに腰を動かしていたトシヤの頬に下から手を伸ばした。
うっすらと閉じていた目を開け、涙で潤んだ瞳で俺の顔を見つめてくるトシヤ。
「かお…く…?」
濡れた瞳。
濡れた声。
濡れた唇。
全てが甘く。
全てが艶めかしく。
全てが麗しく。
俺はベッドに横たえていた自分の体を起こすと、トシヤの頬に両手を添えた。
「舌…出して」
低い声で甘く囁き、のぞいた赤い舌を絡め取る。
銀糸がいくつもそこからひき、顎や首筋を濡らして。
ただ濡れた音だけが──────響く。
思う存分堪能すると、ちゅっとトシヤの頬に口付けた。
ちょうど俺の体を足の間に挟むような格好で抱きついてきたトシヤは、その拍子に自分の体の奥底に
今まで以上に俺を深く受け入れたらしい。
熱をもった溜息のような吐息を、小さく吐き出した。
「トシヤ…」
「…ぅん…」
その体を抱きしめ、首筋に顔を埋める。
俺の髪が首に当たってくすぐったかったのか、トシヤが身を捩って。
「かおるく…もっと…」
長い髪の隙間からのぞく俺の耳たぶを舌先で舐め、軽く歯をたててきた。
甘く上擦った声、絶えず聞こえてくる荒い呼吸。
たったそれだけのコトなのに、ぞくぞくとしたものが体の奥からせりあがってきて。
「トシヤ…」
お互いの吐息が絡み合う距離で、じっとトシヤの顔を見つめる。
ポツリ。
こめかみから、零れ落ちる汗。
やがてゆっくりと、トシヤが恥ずかしげに瞼を伏せた。
そのしぐさに妙に加護欲をそそられて。
湿った髪を掻き上げ、額に口付ける。
瞼。こめかみ。鼻先。唇。
甘く甘く啄むようなキスを繰り返す。
喉元。首筋。項。鎖骨。
やわらかそうな部分に軽く歯をたて、噛みつき、吸い上げて痕を残す。
その度に波打つ体。
いつもそう。
とてつもない独占欲に駆られるのは、こんな時。
大きな瞳に俺だけを映していてくれたら。
形のいい唇で俺の名前だけを呼んでいてくれたら。
長い指先で俺の背中だけに爪を立てていてくれたら。
「動いて…」
乾いた唇を一舐めして、トシヤの体を抱きしめる。
戸惑いがちに、ゆっくりと動き始めるトシヤの体。
背中にまわされた手に次第に力がこもってきて。
少しのびたトシヤの爪先が、俺の背中に痕を残した。
「アッ…ン…」
いつもと違う体位のためか、少し動くたびにトシヤの『イイトコロ』に俺が当たるらしく。
絶えず零れるトシヤの嬌声が、粘着音が、俺の耳につく。
「やっぱお前…最高…ッ」
「ひゃっ…あ、かお…っ」
耳に舌を差し込み、片手でトシヤの体を抱く。
開いた片手で、俺とトシヤの体の間にあったトシヤ自身をゆっくりとなぞって。
達しそうなソレに、軽く抉るように爪を立てた。
「アッ…あぁンッ!!」
瞬間、強張ったトシヤの体。
「くっ…」
その締め付けによって、俺もトシヤの中でイって。
弓なりにそった体を抱きしめて、瞼の裏が白くなる瞬間を待ち望んだ。
トシヤの体を上に乗せたままで、俺はゆっくりと体を横たえた。
「トシヤ…?」
俺の胸に顔を埋めていたトシヤの髪をやわらかく梳いてやる。
「な…に…?」
いつも以上に掠れた声で、トシヤが俺の問いかけに応じた。
「大丈夫か…?」
俺のその問いに、軽く頷いて。
「でも…」
「でも?」
「つかれた…」
そうはにかんで、トシヤは再び顔を俺の胸に埋めてしまった。
何度身体を重ねても、恥ずかしいものは恥ずかしいらしい。
情事のときの明け透けな態度とは対照的な、この初さがいつまで経ってもたまらない。
まだ熱の冷めない身体を抱きしめたまま、手を伸ばして下方に追いやっていた
毛布を引っ張って被る。
静かになった室内で目を閉じれば、耳に聞こえるのは穏やかな寝息と、
窓の外で冷たく吹きすさぶ風の音。
暖房のきいた暖かな室内で、愛しい体温を抱きしめているしあわせが
今更ながらに沸いてくる。
「おやすみ、トシヤ…」
胸元に埋められた小さな頭。
緩く額にかかる前髪に口付けを落として、俺もゆっくりと目を閉じた。
「───くん、薫くんっ」
翌朝。
肩を揺さぶられる振動で、目が覚めた。
目を擦りながら開けると、そこには真っ赤になったトシヤの顔が。
「何で繋がったまんまなんだよ!?」
相変わらず口悪いなぁ、なんて論点とはずれたことを思いながら、
ぼんやりと昨晩の甘い出来事を思い出す。
「あー…昨日シてすぐ寝てもたやんトシヤ。俺の体の上で。
動いて起こすのも悪いしなーって。それで」
なんて尤もらしいことを並べてみたけど、全部嘘。
本当は、こうやってトシヤが顔を赤くしながら俺を起こすのを待ってた。
「それで…って。別に起こしてくれたっていいのに…」
「だって気持ちよさそうに眠てんの起こすのも悪いやろ?」
「……別にいいのに…」
手を伸ばして頬をなぞりながら言えば、トシヤは顔を赤くしたままごにょごにょと俯いている。
ほんま、いつまで経ってもからかいがいがあるなぁ、トシヤは。
俯いて黙り込んでしまったトシヤに、少しだけ悪戯心が芽生えてくる。
いや、少しだけなんてものじゃない。
かなりの悪戯心。
俺の顔の両側に手をついて体を支えているトシヤをいいことに、俺は思いっきり腰を入れてやった。
「ひゃあっ!?」
案の定、動けないトシヤは甘い声を漏らして俺の顔を凝視している。
そんなトシヤの顔を眺めながら、俺はいけしゃぁしゃぁと抜かしてやった。
「おはようトシヤくん。てことで、もう1ラウンド♪」
「なにが、てことで、だ!!なに…ッ」
未だ文句を並べようとしていた可愛くない口を俺の口で塞いで。
体勢を入れ替え、トシヤの体を下に組み敷く。
「…欲しいんやろ?」
息も継げないほどの激しいキスを施してから、冷えた指先で未だ繋がったままの箇所をなぞってやれば、
びくりと反応を返すトシヤの体。
「ココも欲しがってるみたいやし、な…」
緩く立ち上がりかけていたトシヤ自身に手をやって。
もう涙目で荒い呼吸しかつけないトシヤを、俺は満足げに上から眺めた。
ずっとずっと俺の上で踊り続けて。
甘い蜜を零しながら、甘い香りで俺を誘惑しながら。
──────いつまでも、そばにいて
END
あけましておめでとうございます
新年早々エロですいませ…
こんなサイトではありますが、管理人共々
今年もよろしくお願い申し上げます!